RECORD

Eno.232 シャルティオ&キィランの記録

或る従者の記録


「……非力だなんて、嘘ですよ」



 弱い振りをしていましょう、いざという時に身を守れるように。
 油断をさせておきましょう、それが策略。

 魔法破壊しか使えなくて、暴力に殺されかけた過去。
 人は、学ぶことの出来る生き物だから。
 暴力に殺されかけたのなら、それに対応出来るよう鍛錬を積もう。
 けれど人前では、無力な従者の振りをしていましょう。

 破術師が武力を持ったのならば、それは、
 第二王子フェンドリーゼでも擁護出来ない脅威になり得るから。


「……モノマキアも。
 私、きっと少しは勝てるはずなんですけどね」



 非力な振りをしていましょう、本当の自分なぞ要らぬのです。
 努力も鍛錬も表に出せず、認められることはないのかも知れないけれど。


「……結論、あるじ様さえ守れれば、
 他のことは全て些事なのですよ」



 あるじ様に救われたこの命、あるじ様の為に使いましょう。
 いざという時に備えて怠らぬ鍛錬の果て、大切を守れると信じているのです。