RECORD
Eno.44 ブルーバードの記録
◆10月4日、天浅葱の日記
りーくんの過去は暗い。
天涯孤独、誰も自分を気にかけてくれる人がいない状況で、生きるために奪って、生きるために殺す。
そんな生活をしてきた彼は体中傷だらけで、特に背中の傷は酷い。
特徴的な波のような傷は、銃創だと教えてくれた。
マントを手放さないのは、闘技中に服が破けてもそれで背中を隠せるから、だそうだ。
そして、酷い生活の果てに……なるべくして死病を患って、フラウィウスに流れてきた。
私は彼が怖いとも思わなければ、彼が犯した罪に関しても……これが一般的な感性ではないとわかっていると前置きした上で、どうとも思っていない。
私の時代には、帝直属の始末屋集団……暗部がいた。
私が最期に見たのも、暗部の服。
……私は彼らのことも、自分に敵対してきた者達のことも、誰も恨んでいない。
彼らは殺しが仕事で、彼らも仕事が完遂できなければ命が無いのだ。
そういう時代で、そういう社会だった。
悪があるとすればそれだ(それはそうとあの王子の逃げと隠蔽一辺倒の思考回路はボロクソに言いそうになるし、自分の選択にも多少の疑問はあるけれど)
でも、フラウィウスは違う。
最近のりーくんは穏やかで、いつも何でも美味しいと言って食べてくれる。
幸せそうに、ひとくちひとくち口に運ぶ。
……今まで、まともな食事がとれなかったんだね。
(時折痛そうに苦しそうにしていることも、その度に紋が強く輝くことも知っている)
私は彼を責める気にはなれない。
彼個人を責める前に、それが起き得ない社会を作れなかった国と政治を問わねば。
彼と同じ立場に生まれていたなら、人間は全員が同じ行動を取る。
天涯孤独、誰も自分を気にかけてくれる人がいない状況で、生きるために奪って、生きるために殺す。
そんな生活をしてきた彼は体中傷だらけで、特に背中の傷は酷い。
特徴的な波のような傷は、銃創だと教えてくれた。
マントを手放さないのは、闘技中に服が破けてもそれで背中を隠せるから、だそうだ。
そして、酷い生活の果てに……なるべくして死病を患って、フラウィウスに流れてきた。
私は彼が怖いとも思わなければ、彼が犯した罪に関しても……これが一般的な感性ではないとわかっていると前置きした上で、どうとも思っていない。
私の時代には、帝直属の始末屋集団……暗部がいた。
私が最期に見たのも、暗部の服。
……私は彼らのことも、自分に敵対してきた者達のことも、誰も恨んでいない。
彼らは殺しが仕事で、彼らも仕事が完遂できなければ命が無いのだ。
そういう時代で、そういう社会だった。
悪があるとすればそれだ(それはそうとあの王子の逃げと隠蔽一辺倒の思考回路はボロクソに言いそうになるし、自分の選択にも多少の疑問はあるけれど)
でも、フラウィウスは違う。
最近のりーくんは穏やかで、いつも何でも美味しいと言って食べてくれる。
幸せそうに、ひとくちひとくち口に運ぶ。
……今まで、まともな食事がとれなかったんだね。
(時折痛そうに苦しそうにしていることも、その度に紋が強く輝くことも知っている)
私は彼を責める気にはなれない。
彼個人を責める前に、それが起き得ない社会を作れなかった国と政治を問わねば。
彼と同じ立場に生まれていたなら、人間は全員が同じ行動を取る。