RECORD

Eno.232 シャルティオ&キィランの記録

26 これからのこと


 ここ数日の不調が回復し、
 何とか酒場に出てこられるようにはなってきた。
 これから僕はどうしよう。
 兄さんを、ディミオスさんを超えて。

 胸の奥に目を向ければ、
 そこにはぽかんとひとつ、
 大きな穴が空いていたんだ。

 リオに、幸せを見つけようとか言ったくせ。
 僕の幸せは、何処にあるんだろう。
 酒場のみんなとの交流は確かに、
 僕の心に癒しを与えたけれど。

 分からなくなった、見失った。
 だって何を、やってもさ、
 僕は母さんには愛されないのにさ。

 走っていた理由だって、根本はそれで。
 走っているうちは、目標を追いかけているうちは、
 夢中になってたから、忘れることが出来ていたのに。

──目を逸らしていたものが、見えてきた。

 あぁ、あぁ、苦しいや。また走れば忘れられる?
 連勝目指せば見えなかったことに出来る?
 思い出した傷痕に、応急処置が出来るのかな。

 確かに強くなれたはずなのにな。
 自信だって持てたのになぁ。

 あぁ、それでもやっぱり僕は、
 おかあさんには必要のない子。
 強くなれたところで、
 痛みや傷痕が消える訳じゃないんだよな。

 乗り越えなきゃな、いつか、いつか。