RECORD

Eno.637 ナルシテート・スラミガル・ビビの記録

野菜スープ

アタシの宿は亜人向けの宿。
天井が高くて布団がふかふか。従業員が多少弁えている、決してお安くない宿。
大きなベッドとバストイレ、手前にはテーブルとイス。
三ツ星とまではいわないけど、それでもそこそこいい宿だ。
問題はその宿の、アタシの部屋に不法侵入しているドクターがいて、ついでに備え付けの冷蔵庫に作り置きの野菜スープが入っている事なんだけれど。


「悪い人じゃ、ないんですよねえ」

でも行いは悪いんだよな。どうしましょうかしら。
医者としてストーキングしてるとのことなんで完治すりゃあいいんでしょうけれど、生憎と胃はまだほんのり重たくて。
これは多分アレなのだよね。どうにも、闘技者。ヴェール無しが多いということが関係している。
その中でも彼はまだヴェールがあるから、いささか遠ざけるのもなという、複雑な気持ち。

「悪い人じゃないんですよねえ」

ストーカーが悪くない、というと語弊があるんだけどさあ。
アタシは何とも言えずに天を仰いだ。
野菜スープは、少し啜って軽く処分した。