RECORD

Eno.134 タニムラ ミカゼの記録

 もしも、君が好きになったのが自分ではなくて他の人だったなら。
 もしも、スゴい力で君が人並みの寿命を持てたなら。
 もしも、他の誰かなら君を救えたのなら。

 代わりに君の傍に自分が居られないとしたら。

 俺は、間違いなく君を救えなかった。
 当然運命を変えるような力もない。ただの人間だ。
 ただの、弱い人間なんだ。

 1秒でも君の傍にいたくて。1日でも君に会いたくて。それしか願うことしかできなくて。
 自分と君を苦しめながら、抱き締め合った。

 それが正解だったのかは分からない。
 君はずっと、離れてくれたほうが嬉しいと言い続けていたし。静かに死んで、フッと思い出されるような存在でありたいと願っていたから。

 けど、多分無理だったろうな。俺はそれを頷けるほど大人じゃないし、静かに離れてもきっと探し出してしまっただろう。
 そうしたら、君に嫌われて俺だけがもっと悲しい思いをしたのかな。

 瞼の裏に君が張り付いて離れない。
 君の笑顔と鈴の音。もうどこにも居ない事を思い出す 。

 俺たちは悲しい別れをした。そう思えるくらいに愛しい日々を過ごしたから。

 君を救えない、苦しませた男だった。
 それでも、最期まで傍に居させてくれてありがとう。君と居られて俺は幸せだったよ。

 帽子を外して敬意を。サヨナラを。
 涙、まだ止められなくてごめん。