RECORD

Eno.17 アヤト・キリシマの記録

例の件について

既にシュガーレスから聞いているかもしれないが
サイトの件はひと段落ついたそうだ
結論から言うと 私の出る幕はひとつもなかったようだね
貴公にとってはその方が安心できるだろうけれどもね

此度の件 誰に非があるかといえば やはり私なのだろう
私は選択を誤った
あの夜シュガーレスが私の宿を訪れた際
やるべきことは彼女を抱く事ではなく
喧嘩のあらましを聴き 仲直りを促すことだった
そうすれば彼もまた辛酸を舐める必要なく 違った展望があったかもしれない

彼は言った 望むからって与えるばかりでは本人の為にならないと
それは ひとつの真理だと思う
にも拘わらず私があの子を頑として手放さない理由
それは畢竟 私自身が彼女に救いを求めているからに他ならない
だから正直後ろめたい気分だったよ
グロッキーになるまで彼らの幸福を祈り 私に相談を持ち掛けてくれた
貴公の姿勢は こんな浅ましい女からすればとても眩しかったから

気休めになるかわからないが
私はシュガーレスの今後について レヴン氏の言葉を参考にするつもりだ
曰く 彼女が求めているのは死そのものではない
トクベツたる私を 自分で満たせない事を何よりも恐れている
故に 死を選ぼうとしている とね

であるならば 私はその恐れをできるだけ排除し
彼女が今日も 明日も 明後日も 生きていたい 満たしたい
そう思えるよう 健やかでいられるよう 努めたいと思う

だからもしいつか万が一 あの子を喪い
心を亡くした私のガワをかぶった獣が貴公の前に立ちはだかったとしても
どうかその時は憐憫ではなく 祝福を送ってほしい
あの子は無事に自らの幸福を成し遂げたのだと


なあ アヤト


結局 誰が一番悪かったのだろうな?


プリムラ・マーメルクリア