RECORD

Eno.232 シャルティオ&キィランの記録

人肌のはなし

 
 キィルは一緒に寝てくれない。
 理解してる。キィルの魔法破壊の力は危険。
 キィルが魔力を持つ人に迂闊に触れたら、
 何が起こるか分かったものじゃない。

 兄さんも一緒に寝てくれない。
 僕のこと、かわいがるくせに。
 ひとの気持ちなんて分からないから、
 あのひとは、結局、隣には居てくれないんだよ。

 これまで、寝る時はいつもひとりぼっちで、
 それに慣れてしまったけれど。

 寒いな、寂しいな。誰か隣にいてよって、思うようになって。
 あたたかさを知ってしまったから、
 夜の孤独は強く、強く。

──ひとりは、嫌だな。

 リオと寝た時のぬくもりを、思い出していたんだ。

  † † †

 ワガママ言ってンじゃねェですよシャル様。
 ひとりは嫌だ、寂しいだ?
 こっちは破術師だから、最初から孤独なのに。

 破術師はねェ、素手では魔導士と手を繋げない。
 素肌を少しでも魔導士と触れさせれば、
 魔導士に甚大なダメージを与えかねねェの。

 “俺”がシャル様に触れられるのは、シャル様が特別なだけで。
 俺以外じゃ、シャル様の毒魔法を壊せないから。
 
 シャル様、貴方が求めりゃ、
 フェン様ぐらいなら隣に居てくれるでしょうよ。
 どうして求めない、声を出さねェの。

──話さなきゃ、分かンねェだろがよ。

 俺が心から忠誠を誓ってンのは、あくまでもフェン様で。
 フェン様がシャル様を守れって命じたから、
 俺はそれに従っているだけで。

──必要以上に構うつもりなんて、最初から、ねェからな。
──勘違いすンなよ、王子サマ?

 俺は確かに痛みが分かるけど。
 俺の忠誠は、フェン様にこそあるんだから、なァ。

 恵まれてるくせに。