RECORD
Eno.44 ブルーバードの記録
◆10月18日、天浅葱の日記
あれから1000年。
赤子の切原 雪の目には、ボディコンでジュリ扇を振り回す大人達が映る。
愛の歌が溢れ、愛を語ることも難しかった1000年前の宮中とは別世界だ。
争い事は、少し遠くに。
望んだ平和が、そこにあった。
帝は国の象徴として、存在が争いの種になるのではなく国のメリットとして機能するようになっていた。
血で血を洗った勝者の末裔。
恨もうとも一瞬思ったが……
分刻みのスケジュール、一挙手一投足に注目が集まり些細なミスも許されない人生。
絶対やりたくないな、というのが感想だった。
……あの時もし追手を返り討ちにできたとして、そこから始まるのは『姫様が挙兵し帝を目指す戦い』だ。
襲撃してきた者達と、やることは同じ。
相手の血を根絶やしにして、奪って殺して。
きっと、姫としてなら殺め奪う剣を無慈悲に振れる方が良いのだろう。
でも、私が出した答えは違った。
『自分が殺め奪う剣を振るう悪鬼羅刹じゃなくてよかった』
父上が何をお考えで、何を期待して私に後継者の証を渡したのかはわからない。
単に、父上、弟、私の三択で考えた時に、私が一番何をするかわからなかったからかもしれない。
破天荒で、お転婆だったから。
今の世は、平和だ。
あの時、願ったものがある。
それは……勝利と言えるのではないだろうか。
皆、申し訳ない。
あの時、あの場で、流れる血を最小限にするためには
……私の死で幕を閉じるのが、……最適解であったと、……思う。
もし私が勝ってしまえば、あれの倍、三倍の血を流し、私は帝を目指してしまっていただろう。
皆を悲しませ、禍根を残す悪鬼羅刹になっていただろう。
あの時があり今があり、その今は平和である。
なら
決着はついているのだ。
あの家の最後の主として、我らが掲げた正義の勝利をここに宣言する。
赤子の切原 雪の目には、ボディコンでジュリ扇を振り回す大人達が映る。
愛の歌が溢れ、愛を語ることも難しかった1000年前の宮中とは別世界だ。
争い事は、少し遠くに。
望んだ平和が、そこにあった。
帝は国の象徴として、存在が争いの種になるのではなく国のメリットとして機能するようになっていた。
血で血を洗った勝者の末裔。
恨もうとも一瞬思ったが……
分刻みのスケジュール、一挙手一投足に注目が集まり些細なミスも許されない人生。
絶対やりたくないな、というのが感想だった。
……あの時もし追手を返り討ちにできたとして、そこから始まるのは『姫様が挙兵し帝を目指す戦い』だ。
襲撃してきた者達と、やることは同じ。
相手の血を根絶やしにして、奪って殺して。
きっと、姫としてなら殺め奪う剣を無慈悲に振れる方が良いのだろう。
でも、私が出した答えは違った。
『自分が殺め奪う剣を振るう悪鬼羅刹じゃなくてよかった』
父上が何をお考えで、何を期待して私に後継者の証を渡したのかはわからない。
単に、父上、弟、私の三択で考えた時に、私が一番何をするかわからなかったからかもしれない。
破天荒で、お転婆だったから。
今の世は、平和だ。
あの時、願ったものがある。
それは……勝利と言えるのではないだろうか。
皆、申し訳ない。
あの時、あの場で、流れる血を最小限にするためには
……私の死で幕を閉じるのが、……最適解であったと、……思う。
もし私が勝ってしまえば、あれの倍、三倍の血を流し、私は帝を目指してしまっていただろう。
皆を悲しませ、禍根を残す悪鬼羅刹になっていただろう。
あの時があり今があり、その今は平和である。
なら
決着はついているのだ。
あの家の最後の主として、我らが掲げた正義の勝利をここに宣言する。