RECORD
―しあわせ―
「俺は本当に幸せ者だなぁ…」
「もう。また言ってる」
「何度も噛みしめたくなるんだよ…シュガー
パパ頑張ってお前達のこと幸せにするからな」
「はいはい
ほら、そろそろお仕事行くんでしょう」


「シュガーレス
己にとっての幸福とは何だと思う」

「…れいめいきょうの名のもとで
みなさまがより良い道へとすすめることは、しあわせなことです」

「それは教理に沿った抽象的なものだ
お前自身のものではないだろう」

「…?
おしえがひろまることは、わたしもうれしいですよ?」

「……
黎明は己の中にあるものだ
多くを知り、他者と関わり…何度も自身に問い掛ける…
シュガーレス。今あるものだけを幸としなくてもいい事だけは忘れるな」


「フラウィウスでの生活はたいへんです
闘技というのもむずかしいことが多いですけど…でも、いろいろな役目ができました」

「おやくにたてて…いることをゆるしてもらえて…
いろいろな方と話す事も…知ることもできる…
いえ、できるようになりました
わたしはとってもしあわせです」


「…おともだちと…いっぱい考えました
たくさん痛くもありました
けれど、おかげでみつけました」

「わたしのたどりつきたい黎明を」

「……きっと、もうわたしはきえません
あしたも…あさっても…」
あの人の消えない傷となって、死ぬ日まで

『大事な人と一緒の思い出を積み重ねて…寿命で死ぬときにしあわせだったと思えるような、そんな…』

「…いっしょにたくさんの思い出をかかえて…わたしが死ねば
わたしと過ごしていた以上の時間をながく過ごす…
…そうして、わたしのことも忘れていってしまう…
そうなることは……わたしはしあわせだと思いません」

「あそぶ楽しさも、そばにいる喜びもしってます
けれど…それらの何よりずっと……いっしょに居る為にいっしょに死んでしまえるのがしあわせなのです」
『お前がもっと、色んな可能性の道を探せるようにしてやりたかった……』

「…どんな道があっても、わたしはあの方といっしょに居れる道がいいです
終わりの果てに地獄があったとしても…」
それはシュガーの願いを叶えるために、相手が受け入れたとしても…?


「…プリムラサマも…やっぱり…イヤでしたか…?
わたしがかってに……ひとりで望んでしまうから…ムリしてましたか?」

「わ、たし……がんばります…がんばりますから…
そばにいてください…」
あなたが望むのなら、自分のしあわせも望みも我慢できる
いたいことも、なんだってできるから
『違うよ シュガーレス そうではない』

「ちが、う……?」
―――
――
―


「………」
わたしのしあわせは あの人のしあわせ
あの人の幸福は わたしの幸福
いきるために共に居て
死でさえも別れたくなくて
不死の体はこどもの手では死ななくて

「……それでも…やっぱりいっしょがいいです…」
明日にでも死にたい欲があるわけじゃない
なにかに絶望しているわけじゃない
あなたとのしあわせを生きたくて
あなただけを置いて逝きたくなくて
壊れるのならいっしょがいい
わたしを忘れて生きてなんて綺麗な言葉は言えない
わたしと生きて、わたしと笑って、しあわせをたくさんかかえて
わたしで痛んで、わたしで病んで、わたしといっしょにこわれて
どこまでも共にありたい

「…黎明は己の中にあるもの…」
しあわせの形を何度も変えた。
それでもあの人と一緒ではない道は、子供にとっての不幸
自分の命を惜しんで、ただ置いて逝く事なんてしたくない
いっしょに逝かせて。壊したいわたしを許して。
ずっとわたしだけを見てほしい。愛して欲しい。
ずっとあなたを見つめて、愛していると忘れないでほしい。
それが傍からどんな風に見えたとしても
ともだちを悲しませてしまっても
子供が選んだ道であり望みだから 今日もしあわせのために 懸命に生きる
いつか 幸福な終わりへと 辿り着く為に