RECORD

Eno.673 フィアールカの記録

夜分遅く、三時過ぎ

母の声が何時止んだのかは覚えていない。
絶叫が耳にこびりついて離れなかった。

手足が痛い。動かない。先がない。
自分のそれが転がっているのを見ていた。
声は出なかった。出すところを潰されていたから。

「こいつらは魔術を使う」


「喉を潰しとかなきゃ安心出来やしねぇ」


おかぁさん。


「雌の方はどうする?」


「散々楽しんだしな、ばらしたし、そのまま持っていっちまえ」


おかぁさん。


「毛皮は?」


「そりゃギルドに提出だろ?」


おとぉさん。


「おいおい、雄の頭落っこちてんじゃねぇか」


「ちゃんと拾っていけよ」


おとぉさん。



呼べない。呼べない。呼べない。
悲鳴すら喉から出なかった。

ここでの不幸はただひとつ。
混ざりもののフィアールカ同士の娘は、その血が濃くなっていたことだった。