RECORD
Eno.513 西塔彩斗の記録
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久しいな 手紙をありがとう 息災なようで何よりだよ
私達は今 イタリアのヴェネツィアに居る
市街に水路が通り そこをゴンドラが行きかうような景観の街だ
湿気があるので住むには適さないが 綺麗なものでね
粗方見終わったら南下して町々を巡り ローマを目指すつもりだよ
知っているかい そこにはフラウィウスと同じ 円形闘技場があるんだ
こちらのそれは史跡となっていて モノマキアのような興行はないがね
だが私がまだ不死ではない時代 此処は確かに使われていた
そこで戦うしか路のない者
名誉のために自ら鉄火場へ乗り込む者
様々ではあったが……あそこでは毎日のように 命が散っていったんだ
永く生き過ぎたせいかな 私には 実のところ幸福が何なのか分からない
栄えたと思えば 滅び
滅んだと思えば また興る
大炎はいくら命をくべても やがては熱力学第二法則に従い冷え切ってしまう
柔らかいベッドの上で 子々孫々に囲まれて看取られたのに悔いを残す者が居れば
冷たい戦場の土の上で 満足そうに散っていく者も居る
何が誰の幸福なのか 十把一絡げに語れない事を承知で
私はできるだけ多くに幸福を掴んでほしいと願い続けてきた
それはサイト 貴公とて同じことさ
気づいているかは分からないが 貴公とシュガーレスはよく似ているんだよ
自らにとっての幸福を知っていて それを信じていて
一度そうと決めたら 決して覆さないんだ
だからあの子が金輪際の関りを断じたというのなら
それは紛れもなく 貴公の為なのだろうと思っている
それが直ちに貴公の幸福になるわけではないが……
少なくとも 私やあの子では貴公を不幸にしてしまうからね
ひとつだけ勘違いしてほしくないのは
貴公にとっての災いはフラウィウスそのものではなく
あくまでも私やシュガーレスに限るということだ
貴公の云う通り 大人は汚い ろくな大人は居ないかもしれない
だが 貴公の事を案じている大人も 確実に居た 居たんだよ
もし もしそうでなかったら
私はとっくにおまえを殺している
誰一人 それを誇る事はないけれど
貴公は 確かに守られていたんだよ サイト
私はこれからも毎日 あの子の幸福について考え続けるだろう
答えは出ないかもしれない 何も変わらないかもしれない
けれど少しでも考える事を辞めてしまえば
何のために貴公が怒ってくれていたのか 分からなくなってしまうし……
今日は何かが変わるかもしれない
そう信じて生きる事が 希望なのだと 私は思うから
幸福になっておくれよ
貴公は貴公のまま変わらず 真っ直ぐ伸びて 大人になるといい
そして貴公の行いがいつの日か 私達の決断が誤りであったと決定づける
起死回生の切り札を生み出してくれれば重畳の至りだ
P.S 金平糖をありがとう あの子と一緒に楽しませてもらうよ
返礼の品としてはアレだが ワインを贈らせてもらう
当たり前だが今は呑むなよ? 貴公の国の法律が許す年齢になったら 味わっておくれ
開封さえしなければ ワインは年月によって熟成が成される
今は渋味しか感じないであろうそれも 時の流れと日々の邁進が
深い味わいを齎してくれると信じている
私達は今 イタリアのヴェネツィアに居る
市街に水路が通り そこをゴンドラが行きかうような景観の街だ
湿気があるので住むには適さないが 綺麗なものでね
粗方見終わったら南下して町々を巡り ローマを目指すつもりだよ
知っているかい そこにはフラウィウスと同じ 円形闘技場があるんだ
こちらのそれは史跡となっていて モノマキアのような興行はないがね
だが私がまだ不死ではない時代 此処は確かに使われていた
そこで戦うしか路のない者
名誉のために自ら鉄火場へ乗り込む者
様々ではあったが……あそこでは毎日のように 命が散っていったんだ
永く生き過ぎたせいかな 私には 実のところ幸福が何なのか分からない
栄えたと思えば 滅び
滅んだと思えば また興る
大炎はいくら命をくべても やがては熱力学第二法則に従い冷え切ってしまう
柔らかいベッドの上で 子々孫々に囲まれて看取られたのに悔いを残す者が居れば
冷たい戦場の土の上で 満足そうに散っていく者も居る
何が誰の幸福なのか 十把一絡げに語れない事を承知で
私はできるだけ多くに幸福を掴んでほしいと願い続けてきた
それはサイト 貴公とて同じことさ
気づいているかは分からないが 貴公とシュガーレスはよく似ているんだよ
自らにとっての幸福を知っていて それを信じていて
一度そうと決めたら 決して覆さないんだ
だからあの子が金輪際の関りを断じたというのなら
それは紛れもなく 貴公の為なのだろうと思っている
それが直ちに貴公の幸福になるわけではないが……
少なくとも 私やあの子では貴公を不幸にしてしまうからね
ひとつだけ勘違いしてほしくないのは
貴公にとっての災いはフラウィウスそのものではなく
あくまでも私やシュガーレスに限るということだ
貴公の云う通り 大人は汚い ろくな大人は居ないかもしれない
だが 貴公の事を案じている大人も 確実に居た 居たんだよ
もし もしそうでなかったら
私はとっくにおまえを殺している
誰一人 それを誇る事はないけれど
貴公は 確かに守られていたんだよ サイト
私はこれからも毎日 あの子の幸福について考え続けるだろう
答えは出ないかもしれない 何も変わらないかもしれない
けれど少しでも考える事を辞めてしまえば
何のために貴公が怒ってくれていたのか 分からなくなってしまうし……
今日は何かが変わるかもしれない
そう信じて生きる事が 希望なのだと 私は思うから
幸福になっておくれよ
貴公は貴公のまま変わらず 真っ直ぐ伸びて 大人になるといい
そして貴公の行いがいつの日か 私達の決断が誤りであったと決定づける
起死回生の切り札を生み出してくれれば重畳の至りだ
P.S 金平糖をありがとう あの子と一緒に楽しませてもらうよ
返礼の品としてはアレだが ワインを贈らせてもらう
当たり前だが今は呑むなよ? 貴公の国の法律が許す年齢になったら 味わっておくれ
開封さえしなければ ワインは年月によって熟成が成される
今は渋味しか感じないであろうそれも 時の流れと日々の邁進が
深い味わいを齎してくれると信じている