RECORD

Eno.658 アカシの記録

生きている実感っていうのは、凄く大事だ。
それは特に、自分が歩んできた道にこそ強く込められた感情だと思う。
じゃあ、記憶を失くした人間はどうなんだろうな。
後ろを振り返っても暗闇、前を見ても暗闇。
現在、足下だけが自分の世界。
そうなると、凄く、すごーーーーく不安になるんだ。

だからこそ、俺は自分の足跡を世界に残すことに酷く固執する。
例えば何か、すげぇ事を成し遂げたとか。億万長者になるほど金を稼いだとか。
或いは、誰かにとって大切な人になるでもいい。子供ができりゃ万々歳だ。
そうすりゃ自分は歴史記憶に残る。或いは、子孫が記憶を継いでくれる。
それこそが、全てを失くした後に生きる理由だ。
ただ、自分が生きていたアカシが欲しい。それだけの話さ。

そう考えると、牛魔がやったネーミングはドンピシャだったってことになるな。
いい名前を貰ったことに感謝しねぇと。