RECORD

Eno.423 モルドの記録

にんにく味の蛇足

ティータイム中の一幕。

・ ・ ・

「そう言えば……、
 向こうでの食事で気付いたのですが。
 僕、にんにくの味…平気だったみたいです……」

「知っていたわ」

「えぇっ!?」

「すりおろして、刻んで…、形のわからないように
 にんにくの使われた料理、普通に食べていたもの」

「えぇ……」

「前は、料理長も気を使ってくれていたみたいよ。
 あなたのお皿には、にんにくが入らないように」

「…………」

「でも一度間違えてにんにく入りのほうを出した時、
 もっとおいしくなった、なんて言って食べたから、
 馬鹿らしくなったって。そう、話してくれたの」

「……なんで教えてくれなかったんですかぁ」

「にんにくが嫌いなの、
 昔に、むりやり食べさせられたからでしょう?
 わざわざ思い出させることもないと思って」

「あ、ちょっと違いますよ。
 院の子たちには、口に詰め込まれただけで」

「じゅうぶんヒドイじゃない……」

「先生に見つかって、
 その子たちは叱られたんですけど、
 にんにくはもう口の中に入っちゃったから……」

「……あぁ、食べ残しに厳しい先生だったわね…」

「ハイ…、毒じゃないなら食え!って。
 ウゥ…、からかったなぁ……生のにんにく……」

「私が掃除を手伝ってた間、そんなヒドイ目に…」

「でもそれくらい平等に厳しい先生だったから、
 あの人数の多い孤児院も回せたのかもです…」

「有無を言わせない迫力のある人だったわ……」

「そうだ、闘技場でお食事をつくってくれた人も、
 ああいう迫力のあるおかただったんですよ~」

「そうだったの?」

「すごいんですよ。どんな屈強な戦士でも、
 食事が終わったら問答無用で叩き出して……」

「…ふっ、ふふっ。なにそれ、見てみたかったわ。
 ね、もっとお話して。どんなことがあったのか」

「ふふふ、えっとですねぇ……」


・ ・ ・


「それにしても、おいしそうな食事の話が多くて、
 お茶をしているのに、おなかがすいてしまうわ」

「ご飯もお菓子も飲み物もおいしかったです~。
 ……でも」

「でも?」

「紅茶だけは……、こっちのほうがおいしいや」

「……、……ふふ、おかわりを注ぎましょうか」

「わ~い」