RECORD

Eno.15  の記録

──月の瞳が瞬いている

(寝台の上で微睡んでいたところに、
ふと知らない景色が自分の視界に映し出される
夕方から夜へ移行しつつあるその街並みは
竜にとって眩しかったようでぴくりと瞼が揺れた)

(あなたの声が聞こえる)

(それを手繰り寄せるように、彼方あなたを想う)

(──見えてるの。はっきり、しっかり。
まずは素敵なお返事ありがとう、愛しいシュガーレス)



(ピザはニアの所にも似たようなのがあるの。
むかーし降りた時ちょっと食べたことがあるけど……
そっちのは貝が乗ってるんだ。本当に海が豊かな所なんだね)



(こっちのだとお肉ばっかりだから、
あなたに振る舞う時は特注のを作らないとかも?)



(お昼にちょっと伝わってきたの、そういう事だったんだ。
……知らない場所ってこわいのがたくさんあるよね。
でも。それ以上に楽しいんだろうなーって思ってるよ)



(だって、特別なひとと一緒だもんね。
こっちにもたくさん伝わってきてるよ、シュガーレス)



くすくすと笑みを漏らしていたけれど
写真を見せてもらった瞬間に余裕は崩れて。



(や、やっぱり少し恥ずかしいかも……。
似合ってるって言ってくれたからまだ安心できるけど、えっと)



あなたの指先が写真の上を滑っていくだけで、
痕を付けられた日のことを思い出して赤くなってしまう。
感情も、色々と混ざって、上手く言葉にできなくて。

次の言葉が出るまで、きっと結構な間が空いただろう。



(……ん、ああ。大切にしてくれるなら嬉しいの)



(返さなくっても別に良いし、寧ろ。
ニアの魂がもっとあなたに届くなら……また送っちゃおうかな)



景色が少しずつ動き出す。
いつの間にか夕日は沈みきっていて、
代わりに街の灯が幻想的に周囲を照らし出していた。


(えへへ。夜のお散歩だね。
ほんとは危ない事なんだけど、ニアもそうしたいから……)



(──今夜はちょっとだけわるいこになっちゃおうね、シュガーレス?)




誰にも知られない秘密の散歩。
水の綺麗な所らしいとは聞かされていたけれど、
百聞は一見に如かずとはよく言ったもので。




今宵のふたりは少しだけ悪い子。
照り映える星を、海を、一緒に見に行こう。