RECORD

Eno.673 フィアールカの記録

吐き気

自分を庇ってくれる両親。竜人の彼。シスター。
誰も彼も自分の犠牲にしている気がしていた。
捥げた足。捥げた腕。渡されたもの、彼らが持ってきてくれたもの。
自分が一人で狩りが出来ないばかりに彼らが手を汚したのだと思っている。


「     」



吐き気がする。

自分の手足食べてまで他人を食べずにいた自分の手元に。
自分を思ってくれるやさしい彼らが手を汚して得たものが集まった。
吐き気がする。

食べるしかない。飢え死にするわけにはいかなかった。
こぼれたミルクは元には戻らない。食べずにどうすれば良かったと言うのだろう。
突き返せばそれこそすべてが無為になる。

自分は何も彼らに支払えるものがない。
のうのうと生きている。
彼らのやさしさを食い潰して生きている。
何もあげられないのに。
吐き気がする。