RECORD

Eno.673 フィアールカの記録

悪い子

悪い子でいたかった。
悪い子で在りたかった。

いい子なんて言わないで。
そうではないなんて言わないで。

「フィアールカのせい、にしておいた方が、多分、いいんだよ」



「責められた方が楽ですものね」
「責められたいなら開き直った方がいいですよ」
「私は悪くないって言った方が、人って責めやすいですから」


「……………ただでさえわるくないよって言われてるのに」
「そんなこと言って、そうだよ、されたら、おかしくなっちゃう」



理由が必要だった。
悪が必要だった。
降りかかる理不尽だと思うことに耐えるために。
反感を抱かず呑み込むために。
父と母を奪われた憎悪に蓋をするために。

自分が悪いのだとしてしまいたかった。
他人が悪いのだと思ったら、きっと恨んでしまうから。

悪いと言って。お前が悪かったのだと。人を食べる種族なのだから仕方がないのだと。お前が幼く弱く、親に甘えていたから何も出来ずに奪われたのだと。

町のギルドに貼られていたクエスト、村の外れに埋められていた見知らぬ服装の青年・・・・・・・・・、傷口からは父以外の匂い、国の外に持ち去られた母の遺骸。
母を探せば探すほど、呑み込んだものを見れば見るほど、そんなことばかりが、そんな違和感ばかりが。
ねぇ。おとぉさんとおかぁさんが殺されたのは、わたしのために罪のない人を殺したからではなかったの?


でなければ納得なんて出来なかったふざけないで

奪わないで。返して。わたしの大事なものを。