RECORD

Eno.637 ナルシテート・スラミガル・ビビの記録

呆然

目が覚めた。
床の血溜まりがすっかり乾いて、腥い匂いがする。

嫌な夢を見た気がした。
なんの夢かは分からなかった。
夢も見ないほどの深い眠りだったはずだが、奇妙な虚脱と空白ばかりが気にかかる。

巻いたシーツが真っ赤に染ってはいたものの、傷は炉のお陰か随分と塞がっていた。
息をつき、懐からふらふらと魔力安定剤を取り出して一気に飲み干す。
かっと炉が熱くなる感覚がする。
それでも血の足りない寒さは残っていて、ナルシテはゆるゆると寒さから逃げるように、部屋の掃除も忘れて扉に手をかける。

フラウィウスは、開かれている。
向かうしかない。