RECORD
Eno.44 ブルーバードの記録
◆11月2日、天浅葱の日記
『姫様』の人生には沢山の人がいた。
姫様は『現人神』であったから、使用人であっても自由に言葉を交わすことはできず
意思表示でさえほんの限られた人にしか許されてはいなかったけど、窮屈な中にあっても思い出は常に温かい。
千年前のお転婆姫は、沢山の人達の誠実な愛情に支えられて育った。
外に出たいと脱走を企てれば即座に塀の高さが三倍になるほどに。
もう絶対に生きては戻れないという局面にあっても、同行を申し出てくれる人が沢山いた。
私のために命を投げ出すという人が、一人二人という単位ではなく沢山あった。
死後千年、『せめて皆が姫様と呼んだその言葉に後悔をして欲しくない』とそればかり考えていた。
私は、誰かを蹴落とせだとか、権力を掴んでこいだとか、お金を掴んでこいだとか、そんなことは一言も言われなかった。
ただまっすぐ、誠実な愛情を沢山受けた。
素敵なみんなの、素敵な姫様になりたかった。
あれから千年、もう誰もいなかったとしても、もうみんな旅立った後だとしても、私だけはいつまでも
いつまでも目指したい。
あの日、姫様と呼んでくれたその声に相応しい者に。
私が聖人に見える面があるなら、それは皆の心の写し鏡。
策を弄されようと、凶刃に斃れようと、そんなものより……私達は強いん、です。
姫様は『現人神』であったから、使用人であっても自由に言葉を交わすことはできず
意思表示でさえほんの限られた人にしか許されてはいなかったけど、窮屈な中にあっても思い出は常に温かい。
千年前のお転婆姫は、沢山の人達の誠実な愛情に支えられて育った。
外に出たいと脱走を企てれば即座に塀の高さが三倍になるほどに。
もう絶対に生きては戻れないという局面にあっても、同行を申し出てくれる人が沢山いた。
私のために命を投げ出すという人が、一人二人という単位ではなく沢山あった。
死後千年、『せめて皆が姫様と呼んだその言葉に後悔をして欲しくない』とそればかり考えていた。
私は、誰かを蹴落とせだとか、権力を掴んでこいだとか、お金を掴んでこいだとか、そんなことは一言も言われなかった。
ただまっすぐ、誠実な愛情を沢山受けた。
素敵なみんなの、素敵な姫様になりたかった。
あれから千年、もう誰もいなかったとしても、もうみんな旅立った後だとしても、私だけはいつまでも
いつまでも目指したい。
あの日、姫様と呼んでくれたその声に相応しい者に。
私が聖人に見える面があるなら、それは皆の心の写し鏡。
策を弄されようと、凶刃に斃れようと、そんなものより……私達は強いん、です。