RECORD
Eno.134 タニムラ ミカゼの記録
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花束を作ってから、一ヶ月。
窓を開けたままの君の部屋は、扉を開ける度に風化していくようだった。
あまり来ないようにと意識したせいで、塵と埃が薄っすら積もっている。墓石を掃除するような気持ちで、君の部屋を掃除していく。飾れる物は飾って、風化に耐えられなくなった物は持ってきた新しいプランターと共に土に還してみよう。
君だった物は、あまり見ないようにしている。
綺麗だった君から記憶を上書きしたくなくて。
現実は見たほうが良いって?
どうだろう。死体は見慣れた方だから、変わってしまった姿があるくらい分かってる。
君の部屋だけでも、時間が止まってしまえば良いな。なんて思うけども、こうして自分が手を加えてしまっているから―― 少しずつ、少しずつ、君の知らない部屋に変わっているかもしれない。
自分の部屋用とは別に用意した、新しいプランターに土を入れていく。
君から種が出来ていたら、それを取って土に落としていく。出来てなかったら、準備として置いておく。
君の居た証を増やす準備。
好きな所に咲けるように、会いたい人に会いに行けるように。
手伝いを続ける。
止めたほうが、君から離れられるんじゃないかって? 忘れられないんじゃないかって?
そうかもね。ただ、それで花が繰り返せず、遠くにも広くにも行けないのは、もっと嫌だ。
君を苦しめて咲いた花。ただ、生まれてきたことに罪はない。
この花たちは、君の子のようなものだと思っている。
俺の子ではないから、取り乱さず落ち着いている。
君に繋がるなら、花にだって幸せになって欲しいんだ。
肉親には『生まれて来れなかったほうが幸せだ』なんて思ってしまった自分なのに。
身勝手だな、なんて。
窓を開けたままの君の部屋は、扉を開ける度に風化していくようだった。
あまり来ないようにと意識したせいで、塵と埃が薄っすら積もっている。墓石を掃除するような気持ちで、君の部屋を掃除していく。飾れる物は飾って、風化に耐えられなくなった物は持ってきた新しいプランターと共に土に還してみよう。
君だった物は、あまり見ないようにしている。
綺麗だった君から記憶を上書きしたくなくて。
現実は見たほうが良いって?
どうだろう。死体は見慣れた方だから、変わってしまった姿があるくらい分かってる。
君の部屋だけでも、時間が止まってしまえば良いな。なんて思うけども、こうして自分が手を加えてしまっているから―― 少しずつ、少しずつ、君の知らない部屋に変わっているかもしれない。
自分の部屋用とは別に用意した、新しいプランターに土を入れていく。
君から種が出来ていたら、それを取って土に落としていく。出来てなかったら、準備として置いておく。
君の居た証を増やす準備。
好きな所に咲けるように、会いたい人に会いに行けるように。
手伝いを続ける。
止めたほうが、君から離れられるんじゃないかって? 忘れられないんじゃないかって?
そうかもね。ただ、それで花が繰り返せず、遠くにも広くにも行けないのは、もっと嫌だ。
君を苦しめて咲いた花。ただ、生まれてきたことに罪はない。
この花たちは、君の子のようなものだと思っている。
俺の子ではないから、取り乱さず落ち着いている。
君に繋がるなら、花にだって幸せになって欲しいんだ。
肉親には『生まれて来れなかったほうが幸せだ』なんて思ってしまった自分なのに。
身勝手だな、なんて。