RECORD

Eno.637 ナルシテート・スラミガル・ビビの記録

叙任

 

少しだけ。思うところがある。


流されるままに生きて、取り返しがつかなくなってから事を起こす事。あなたは私に似ているが、あなたはもう一人にも似ている。
花婿マルス。義息子になれなかった、負の連鎖を押しとどめられなかった中途な加害者。私の娘が死んだ時、親の首を絞めてダンジョンに籠った男。惰性で生きて死におびえた人よ。



「君が、人類種、寡婦、孤児、あるいは悪の暴虐に逆らい善に奉仕するすべての者の保護者かつ守護者となるように」



剣への祝辞。

「まさに騎士になろうとする者に、真理を守るべし、人類種、孤児と寡婦、祈りかつ働く人々すべてを守護すべし」



への呪詛。

対等にはしてやらない。そうしてやろうとも思ったが、そうなる事はきっと君にとって耐えがたいものであるようだから。


いいよ。赦そう。君がそうある事を。穏やかに過ごせというなら将来もう領地から出る事もない。危険があれば領地すら捨てよう。
君が半端を嘆き惰性に苦しむなら、極端にして使命を与えよう。



「騎士をやめる事は許さない」


「私に平和を祈るなら」


「私の地獄を取り上げるつもりなら」


「あなたは私を理由になさい」



貴種は弱者のためにある。








「雁字搦めだ」



生きる理由にしていいよ。
その命の分、沈んでいこう。