RECORD

Eno.232 シャルティオ&キィランの記録

後日譚05 双星の真意


 フラウィウスから、姉双子が戻ってきた。
 少し話していつの間にか、帰ってきていたらしい。
 
 その頃にはシャルティオは、
 彼なりの自由を獲得していた。
 そんなある日、姉双子と3人きりになる
 機会が訪れた。

  ◇

「…………。
 はじめに、ごめん、って言っておくわ」

 桃色のティナが、口を開く。

「あなたを助けたかった。
 でも、助ける訳にはいかなかった。
 無視したくて無視してた訳じゃないし、
 許して欲しいなんて傲慢なことも思わないけど」
「…………」

 シャルティオは無言で、姉を見上げる。
 片方しかない青い瞳は、淡々と。

 水色のティカが、口を開く。

「……この国の一番の権力者はお母様、女王フォルーシア。
 その方針は絶対であり、あたしたちみたいに弱い子が、
 それに逆らったら生き延びられない」
「…………」

 シャルティオは、ただ無言。

「……わたしたちは」「あたしたちは」
「「自分たちが生き延びるために、あなたを犠牲にした」」

 ごめんね、と頭を下げる。
 シャルティオは、ただ──

「……今更、もう、姉さんたちには期待してないから」

 返す声は絶対零度。
 諦めている。あなたたちなんかには、もう。

「……用事は、それだけ?」
「……謝っておきたかったのよ。
 それもわたしたちの身勝手かもね」
「僕はその謝罪を拒絶する。
 そっちの都合なんて知るかよ、
 僕は……助けてって、言ったのに」

 そのまま、部屋を後にした。
 この溝が埋まることは、ないのだろう。

  ◇

 生き延びるために末の弟を無視した双星を、
 邪悪だと一方的に責め立てることは出来ないけれど。
 それでも心の中、わだかまるものは確かにあって。

 冷めた心を、少年は抱えていた。
 今の彼が期待しているのは、信じているのは、
 次兄フェンドリーゼだけ。

(……万事、上手く行く、か)

 あなたのことは、信じても良いのかな。
 次兄の言葉は、シャルティオの心の光。