RECORD

Eno.153 アリスの記録

伸びなかった身長

 今日も酒場は賑わっている。
 酒場の看板を掲げているくらいだから、やはりお酒を飲んでいる人が多い。
 ……尋常じゃないくらい強い人だっている。連続で何杯も飲んでいたり、ずっと乾杯していたり、複数の酒を混ぜて飲んでいたり。
 私は飲めない……訳じゃないけど、それはもう、それはもう本当に弱いので、醜態を晒さないためにも人前では飲まない事に決めている。
 だからこそ、飲みながら楽しく談笑している姿を見ていると、少し羨ましいとも思った。

 もちろん、酒場を訪れる全員がお酒を飲んでいるわけではない。
 ノンアルを嗜んでいる人もいれば、そもそも飲める年齢に達していない子もいて。
 ……そう。酒場を訪れる人の中には、幼い子供だっている。
 当然、彼等も闘技者の一人であり、闘技場の上では何度か刃を交えたこともあった。

 そんな彼等がいる中、酒場で一つの話題が上がった。
 ……それは、身長の話。
 きっかけは確か、自分より身長が低い子を可愛がりたくなる……とか、そんな感じだったような。
 それで、気になって周囲の子を見てみると、みんな私よりも身長が高い子ばっかりだった。
 ……まあ、これはきっと、私の身長があまりにも低いだけなんだろうけど。
 比べてみることで、改めて自分の背丈の低さを実感した気がする。

 どこの世界でも、子供に間違われた経験は多い。
 最初の頃はそれを気にしていたし、売買の面で不利になる事もあったけれど……それが武器になる事だってあった。
 それに、色々な世界で過ごしていく内に、素敵な人達との出会いが沢山あって。
 充実した日々を過ごしている内に、私の悩みにもある程度割り切りがついた。
 だからこの先、それを気にすることもあまりないだろうと思っている。







 ……ただ少し、ほんの少しだけ。
 それをきっかけに、幼かった頃を思い出しただけ。

 あるはずもない『蘇生薬』に縋って、全てを錬金術に捧げていた……あの日々のことを。