RECORD

Eno.108 トーマ・ヒラサカの記録

誰かへ宛てた手紙


母さん、心配いらないと前回手紙で書いた通りです。
俺の身を案じてくれているのはわかります。
流石に俺も、その辺りが分からないほど子供ではありません。
けれど、そのまま戻ってくるなと言われても困ります。
俺は強くなって村へ戻る為にここへきたんです。
怖くなって逃げ出したわけでも、
生き延びたいから転がり込んだわけでもありません。
全てを俺の手で終わらせたい。何度も言ってきたと思いますが、
俺にとって、行動理由なんてものはこれしかありません。

父さんや兄さんが死んで、俺がこっちに武者修行に出て、
ひとり村に残っている母さんが不安な気持ちになるのはわかります。
でも俺のことを信じて、待っていて下さい。
村にいた頃は修行と言って滅茶苦茶なことをしていたので、
心配かもしれませんが、本当にここの技術はすごいものです。
ここの、剣闘試合で使われている一時保存魔術というものが村にもあれば、
助かった命も多かっただろうな、なんて無駄なことを考えてしまう程です。

必ず戻って、俺が温羅を討ちます。
村を脅かし続けたあいつらを、絶対に皆殺しにするから。
だからどうか、あなたの息子の帰りを待っていて下さい。

桃眞