RECORD

Eno.227 アルティナ&アルティカの記録

4 徒花に水をやる

 最初にその子を意識したのは、いつだったか。
 ひとりで泣いてる子がいたんだ。
 泣こうとしてるのに泣けなくて震えてた。
 俺が声を掛けたのがはじまり。

──その子は、“徒花”らしい。

 花を咲かせぬ醜い植物。
 徒花なのだと母さんは言った。
 俺は素直な子じゃないから、面白いと思ったよ。

「──もしもそんな徒花が、
 花開く時が来たのなら」



 最初はそんな好奇心で、
 シャルティオに接したのさ。

 徒花に水をやってみよう。
 本当に花が咲くかどうか、
 この俺が試してみよう。

 誰も彼に水をあげないんだもん、
 それで徒花と決めつけるのは、早計じゃない?