RECORD

Eno.232 シャルティオ&キィランの記録

5 あったかい場所

 兄さんがよく酒場にいるから、
 僕も酒場に来るようになったんだ。
 酒場なんて、子供が来るような場所では、
 ないのだろうけれど。

 誰も僕を追い出さないから、
 誰も僕を罵らないから。
 この場所は、居心地が良い。

「おばちゃんには、たまに
追い出されるけどね、あはは……」



 サーニャさんに頭を撫でて貰った。
 甘やかして貰った。
 優しい言葉を掛けて貰った。
 嬉しかった、あったかかった、幸せだった。

 走り続けて、息の仕方も忘れたような僕だけど。
 ここでなら……のんびり、出来るかな。

 もしもお母さんがちゃんと僕を愛してくれたのなら、
 こんな渇望を抱えることもなかったのかな。

「…………」



 あぁ、それでも。
 癒えないものは、癒えないな。
 ナイフを身体に走らせて、流れる毒の血で攻撃して。
 自分が傷付いていることに、安堵を覚えていた。

 自傷行為は戦闘の為なのだと言い訳をして、
 正当化して、落ち着こうとしていた。

 僕、は──