RECORD

Eno.111 片角のリニカの記録

生まれ

生まれつき角が折れていた。
産道に引っ掛かったのではないかとされ、
それが、姉や皆から一層疎まれた理由の一つだったと知った。
母は産後から半年で死んだから。

扱いは良いものでは無かった。
ただ、死んでしまう程悪くもなく。
灰色の世界を生きていた。

狩りについていくことはなかったし、
その許可が出されることもなかった。

得物の解体が主な仕事で、
刃物の扱いは、そこで覚えられた。

任されるのは、あまり価値のない部分が多かったが、
だからこそ、傷を負った部位をよく目にしていた。
どの様にして戦い、倒したかというその一端を。
戦う為の知識は、そこで覚えられた。

肉を干すまでを行ってから、空いた時間がある時は、
収奪品の蓄えられた倉庫の中で、本を読んでいた。
本は燃やす為の燃料とされていたから、雨水で湿気ないように、窓はない。
扉の隙間から差し込む斜陽の明かりは、頼りにするにはか細かった。

その生活が、永遠だと思っていた。
いつものように狩りに行った者達が、得物を取れないで帰ってくるまで。

きっと、私は、この村で順番を付けるなら……
一番目になる存在だと、わかる前まで。