RECORD

Eno.423 モルドの記録

吸血鬼だけどそんなに吸血鬼じゃないちょっとだけ吸血鬼の男

お日様の下は歩けるけど、強い日差しの下では立ち眩み。
にんにくアレルギーはないけど、ふつうに味が嫌い。
流れる水の中に入れるけど、泳ぎは苦手なので流される。
招かれない家にも入れるけど、悪いことだからやらない。
心臓に杭を刺されたら死ぬけど、そもそも不死じゃない。

眷属をつくる力は無い。
ギリギリその力が残っていた両親は、
ハンターてきなひとにハントされた。

血は好き。
お嬢様がときどき恵んでくれる。
指先からもらえる一滴が甘美なおやつ。


不死の怪物はとっくに昔話。
害をもたらすものは狩り尽くされてもういない。

あとに残されたのはギリギリ無害と判断された、
中途半端な弱点だらけの、中途半端にしぶとい生きもの。

それが今日も生きている。
だれかに飼われて、なんやかんや元気に生きている。

白い指先から与えられる赤い滴は、愛であり、首輪だった。