RECORD
Eno.128 化堕楽の記録
映像記録
──某日。次元の狭間にて。










羽根を広げた彼が一瞬の内にして消える。
まるで幻覚だったかのように。
残された一枚の虹色の羽が先程までいた存在の証明をしていた。
────映像はここまでだ。

「やぁ、今日は何の話を聞きに来たんだ?」

「…ほう、あの子の事か。そうだな、あの子…いや彼女は見るだけで関わりたくないね。
呪いがこびり付いている。ありゃもう取れない。」

「まぁ、化堕落なんて名前を付けたのは俺だけどさ。
人に化けて、堕ちて、落ちて。そういう生き方しか出来ないんだよ。お似合いの名前だろう?」

「彼女は凄い不満そうな顔をしてたけどな。結局使ってるのは考えるのがめんどくさかったんだろうよ。」

「本名?知ってるけど。アイツ嫌がるんだよな。だから教えなーい。
今のアイツには到底似合わない名前だ。」

「だって行く先々で人に関わっては殺して、殺して。
酒で自分を忘れてる。」

「ま、それを進めたのは俺なんだが。
今の環境は彼女にとってさぞ天国だろうよ。」

「ああ、そうだ、彼女は女だぞ。
生前から性別を隠してたからその癖で隠してるんじゃねぇかな。
女だと舐められるのが嫌なんだってよ。
生まれのせいかね。価値観が古いよな。」

「…ああ、そろそろ時間だ。またどこかで会えるだろうな。
俺?俺はただの天使だよ。まぁもう天界にはいけないが。」

「それじゃ。またな。」
羽根を広げた彼が一瞬の内にして消える。
まるで幻覚だったかのように。
残された一枚の虹色の羽が先程までいた存在の証明をしていた。
────映像はここまでだ。