RECORD

Eno.232 シャルティオ&キィランの記録

7 寿命、死後、それから

 
 僕が500勝到達しているうちに、
 兄さんはもう1000勝だって。
 すごいなぁ……。

 でも連勝数は僕の方が上だもん。
 僕の本気、舐めんなよ。
──必ず、追いついてやる。

  ◇

 “神憑き”についての話をした。
 僕の世界の絶対法則、天才は早死にする法則。

 僕の境遇は境遇で良いものとは言えないけれど、
 英雄となることを強制された上に
 早死にしなけりゃならない“神憑き”よりは、
 遥かにマシではあるのだろう。

 死後の話を死神さんとした。
 僕は死んだら、ちゃんと生まれ変われるかな。
 他の世界は僕のところよりはもっと良いところらしい?
 色々な話を聞いてみたいな。

 出来損ないでも、生まれ変われるでしょうか。
 そしたら幸せになれるでしょうか。


  ◇

「……長く、生きたい、な」



 生きられるのならば。

 僕は“神憑き”みたいに、
 20を迎える前に死ぬわけではないけれど。
 この身に流れる毒の血が、僕の命を妨害する。

 今はまだ抑えられているが、
 魔力が衰え始めたら……僕の身体は耐えられるの?
 幼い頃も、魔力の不調で身体を腐らせたんだから。
 僕の死に様は、きっと醜いものになるのだろう。

 短命を何処かで予期していた。
 強くなりたいと焦るのは、それもある。
 毒の血が怖い、でもどうしようもない。
 だってこれは僕の力で、生まれ持ったもので。

 いつか毒に僕が蝕まれて死のうとも、
 それを防ぐ手立てなんて、ないんだよ。

 失った脚が、ないはずの場所が痛む。
 失った眼の奥が、痛い。

 報われぬままで死にたくないのならば、
 魔力の制御には細心の注意を。
 まぁ──

「……生きているうちに
報われる保証も、ないけどさ」



 きっと長くは生きられないから、
 だからこそ今を、精一杯生きるんだ。
 今この時間を大切にしよう、
 思い出全て、冥界に持っていこう。

 いつか来る、“その日”に備えて。

  ◇

 お母さんの話をした。
 前の日記に書いたから、もう深くは書かないが。
 僕からしたらお母さんという存在は、
 崇高で理想的な女王様、であり。

 そんなあなただからこそ、



 ……愛されたかった、なぁ。
 どうして、僕だけが。