RECORD
Eno.61 ジュヘナザートの記録
世には、恐ろしい事が多すぎる。
他人の存在。家族の存在。生活を脅かすもの。
欺瞞の朝日。喧噪。長すぎる夜。
祈る者。縋る者。
死。
世には、世にはあまりに恐ろしいものも恐れるべきものも多くて、息をするにもあまりに億劫だった。
多分あたしは人より恐れているものが多い。その自覚だけは大いにあってけれどもその腐った性根を治せずにいる。
日向を拒み日陰でひっそりと、息をし続けていた。
剣闘試合では、安全性を担保に過激とも言える試合が日々行われる。
ラウンド間には戦闘続行可能になるまでの手当てが施され、余程の事があっても試合には、問題なく。
一応、記憶が正しければゴム弾……か何か、もしくは空砲が使用されているだろうとは言え
エクセキューターやギロッチンと言った極端な武器の使用が認められているのもその兼ね合いあってのことだろう。
そうでなくとも、何かの間違いに備えて逆行する形での再生が行われるというのが肝心な事。
死とは、恐れなくてはならない。
生あるものとして、本能的に火を恐れるように。
その存在を認めども今ある生を全うするために、己へ降りかかる危機は排除し活路を探し、そうして日々の路を踏まなければならない。
その筈だ。
だから、例え巻き戻るとしても死を許容するなんて真似をしてはいけない。
厳密には死へ至る前に、命に関わると判断された時点で巻き戻る――のかもしれないけれど、
結局は負った傷も受けた傷みも無かった事にはならない。
勿論、その記憶さえ。
剣闘試合は、その性質上、死に近すぎる。と言うのがあたしの見解だ。
過激性を増した試合は、安全性を担保と逆手に取り当然の様にそれが許容されかねない。
試合も回数を重ねれば試行回数的に当然とそうなる可能性も高く――もっと言えば、意図的にそれを狙う者も居る。
まあ。死なないで本気の殺し合いが出来る、と言う点に魅力を感じる奴は少なくない、ってことだ。
だから恐ろしい。
死が近く、その意味が軽薄になりやすく、そうして死を恐れなくなっていく輩が。
麻薬の刺激を深く求める様に、繰り返す最悪を娯楽として消費できてしまう環境が。

死に慣れてしまう事で、それを認めてしまうことで。
あの、一番恐ろしい化け物にほんの少しでも理解をしてしまいかねない事だ。
世には、恐ろしい事が多すぎる。
話すまでも無い事。
世には、恐ろしい事が多すぎる。
他人の存在。家族の存在。生活を脅かすもの。
欺瞞の朝日。喧噪。長すぎる夜。
祈る者。縋る者。
死。
世には、世にはあまりに恐ろしいものも恐れるべきものも多くて、息をするにもあまりに億劫だった。
多分あたしは人より恐れているものが多い。その自覚だけは大いにあってけれどもその腐った性根を治せずにいる。
日向を拒み日陰でひっそりと、息をし続けていた。
剣闘試合では、安全性を担保に過激とも言える試合が日々行われる。
ラウンド間には戦闘続行可能になるまでの手当てが施され、余程の事があっても試合には、問題なく。
一応、記憶が正しければゴム弾……か何か、もしくは空砲が使用されているだろうとは言え
エクセキューターやギロッチンと言った極端な武器の使用が認められているのもその兼ね合いあってのことだろう。
そうでなくとも、何かの間違いに備えて逆行する形での再生が行われるというのが肝心な事。
死とは、恐れなくてはならない。
生あるものとして、本能的に火を恐れるように。
その存在を認めども今ある生を全うするために、己へ降りかかる危機は排除し活路を探し、そうして日々の路を踏まなければならない。
その筈だ。
だから、例え巻き戻るとしても死を許容するなんて真似をしてはいけない。
厳密には死へ至る前に、命に関わると判断された時点で巻き戻る――のかもしれないけれど、
結局は負った傷も受けた傷みも無かった事にはならない。
勿論、その記憶さえ。
剣闘試合は、その性質上、死に近すぎる。と言うのがあたしの見解だ。
過激性を増した試合は、安全性を担保と逆手に取り当然の様にそれが許容されかねない。
試合も回数を重ねれば試行回数的に当然とそうなる可能性も高く――もっと言えば、意図的にそれを狙う者も居る。
まあ。死なないで本気の殺し合いが出来る、と言う点に魅力を感じる奴は少なくない、ってことだ。
だから恐ろしい。
死が近く、その意味が軽薄になりやすく、そうして死を恐れなくなっていく輩が。
麻薬の刺激を深く求める様に、繰り返す最悪を娯楽として消費できてしまう環境が。

「でも、一番恐ろしいのは」
死に慣れてしまう事で、それを認めてしまうことで。
あの、一番恐ろしい化け物にほんの少しでも理解をしてしまいかねない事だ。
世には、恐ろしい事が多すぎる。