RECORD

Eno.374 ぺルシルの記録

寝言 に

それから私は闘技者だ。
 
地下につくられた、光もろくに当たらない収容所
闘技場にあがってやっと空をおがめるそんな場所

私は、




わりと馴染んでた。
何年も住んでいればそれは慣れるよね。

闘技場を娯楽として楽しめているのは金のある人と
地下の収容所を知らない人だけ。

最初は暗い空気纏ってるように見えた地下の人たちも、
異国からひとり、連れて来られた少女にまあまあ好意的で。

怪我をすれば手当をしてくれたし、少ない食事を分けてくれて
酒を飲める歳になれば一緒にどんちゃんさわぎ

お遊びみたいな勝負なんかして
明日をも知れない相手と「次」を約束する。
まあ、まあ。闘技場にあがったきりいなくなった人たちもいるけれど


『これから上がるのか、がんばれよ』
『生きて帰って来いよ』
『いってらっしゃい』


試合前はそんな言葉で送り出された。
どんな場所だって良いところはあるものだ。










ある、不安で眠れない夜
仲良くしてくれた兵士さんが、異国のおはなしを聞かせてくれた。

ひとりぼっちの少女が、まるで王子様のような男の子と出会って、恋をして
すてきに大変身する、ありきたりな童話だ。

だけど、村では聞いた事のなかったそのお話しが、幼い私には印象的で
―――自分にもいつか、そんな相手が現れるのかなって



夢物語のようなことを思いながら、青空の下に出るのだ。
そんな日常だった。