RECORD

Eno.126 キャノスの記録

龍を食べた咎

──伝承では、龍人族の始まりは龍の肉を食べた人間らしい。

飢餓の中で龍の死骸の肉を食んだ人間は強靭な肉体と異形の器官を手に入れた。
翼持つ者たちの領域である空へ到達するための翼を手に入れ、
宝石でできた角と鱗を手に入れ、
──石の心臓を手に入れた。

翼を手に入れた人間は逆に、時間経過とともに重くなっていく体に蝕まれた。
終いには全身が石となり、湖の底に沈んでしまうらしい。
龍人族の数が少ないのもこれが原因の一つと見られている。
幸い龍の肉を食んだ人間はそう多くなく、血も薄まっていっているようだが
石となった心臓はどれだけ代を重ねても変わらなかった。

彼らの心臓からは、水底の音が聞こえる。
それは屍肉を食われた龍の唸り声とも、沈んでいった龍人族の最後の息遣いとも言われている。