RECORD

Eno.493 ---の記録

自惚れ

「ああ、その服の方がツラが引き立つね」

勝ち数が節目になったその日、魔女が新しい服をハチに寄越してきた。
見覚えのある、特徴的な配色と意匠の軍服。
けれどどこで見たのか思い出せない

「それはおまえが王子様してた国の軍服だよ」

言ってる意味がわからなかった。
ただ、あまり嬉しくは思えなかった。
なぜそんなものをくれたのだろう?
魔女は意地悪くにやにやとしているだけだった。



鏡を見る。
首にあの痕はもうない。
この闘技場では怪我はすぐに跡形も無く消えてしまう。
けれど、痛みは覚えている。
窒息で意識が遠のく寸前、首を絞めてきた隻眼の男が浮かべていた顔がぼんやりと脳裏に浮かんで、またわからなくなる。
あんな酷い目に遭わされたのに。
自分が馬鹿だと早く気づかなければいけない。

『友達になれるかな』

なんて一瞬でも思った自分の馬鹿さに。