RECORD

Eno.246 ドウチャカティの記録

戦闘犬は過去を夢見る

かの国の軍隊は、伝統として戦闘犬を配属させる習わしがあった

狩猟が生業であった時代から人間と苦楽を共にしてきた犬は、
一族が集落に、集落が国家へと発展していく中であっても
人間のパートナーという位置づけを変えることはなかった
犬と人間
彼らの絆は固く結ばれていた


しかし、国家は脆かった


列強の一族が周囲の民族を併合していくことで大きくなった国は
格差や差別、思想の違い
様々な要因で内側から崩れ去った

軍は各地で巻き起こる内乱の鎮圧に駆けずり回り
そこにまた犬もいた

同じ国家という屋根の下で育った人々を敵として打ち倒しながら

兵隊も
民も
仲間の戦闘犬も

少しずつ散っていき


そうして荒れに荒れた国家が塵へと姿を変えたとき
ドウチャカティと名付けられた戦闘犬の周りには

兵隊も
民も
仲間の戦闘犬も

誰一人いなくなっていたのだった