RECORD

Eno.61 ジュヘナザートの記録

話すまでも無い事。

 
剣闘試合モノマキア
諍いと言う諍い、或いは闘いそのものを共興に落とし込んだ、要は巨大な規模の闘技場。
競技に関する事であれば死者は無く『安全面への保証の手厚さ』を掲げて日々死闘が繰り広げられている。
安全性を担保にした試合は苛烈を横行させる理由になり、当然と血の気が多いどころか血が沸いている闘技者グラディエーター共で蔓延るのは当然の理だったし、
娯楽と言えば酒がつきもの。
酒場では恐らく特筆すべき人種と人口の多さで闘技者同士でのコミュニケーションがされていた。
まあ酒の場が一番口を滑らかにしやすいと言うのにも納得はいく。

毎日の様にウェポンマスターを御した話が沸き、乱戦での連勝やら通算での勝ち星騒ぎに乾杯の音頭。多種多様な武器に関する話題……とまあ話は尽きない。
大体が酒を飲む乾杯をする為の口実なのでは? と思わなくもない。が酒場だし当然。戦う事が役割だとするなら他の総てを宴会に捧げても然して文句は無いでしょう。



予想外の事があるとするのなら、聖職者……とりわけ修道女がそれなりに多く、しかも比較的常駐していたこと。
あたしはあたしで決闘そっちのけで酒が飲めれば良いから酒場に入り浸るし他の修道女も割と酒を飲みに来る。
当然と修道女の一行は人の目を引いて何かにつけちゃあ「シスターが多い」だの何だの……

いやまああたしですらそう思うのだからあまりにご尤も毎日宗教の話題が出る一端と成ることに罪悪感がないでもない

そこに救いがあるとするのなら、酒場に来るシスターの大半が所謂ところの"神"を信仰しておらず、また布教活動に真摯という程でも無いという事。
要は穏健派……と言うより寛容な者が多かったという事だった。
さもなくば、剣闘試合モノマキア宗教戦争モノマキアになるところだったのだから。





それはそれとして。
あたし個人の話をするのなら、あたしが闘技者として極めて不適合寄りである事に間違いはなく、自分でも相性の悪さは実感している。
厭戦派とは言いつつも、『巻き戻す』事象安全性の観点と酒代を目当てに一応、その役目は果たしているつもりではあるが。

それを除いた上で、或いはだからこそ。
あたしとは相性が悪い。
この闘技世界は恐ろしい。