RECORD

Eno.134 タニムラ ミカゼの記録

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雑記

 頭を抱えている。仲間の一人が死んだ。
 誰かに殺された訳では無い。ある意味では事故死だ。

 死んだ仲間は『血劣化』。自身の血を代償に水を作る、ありふれた魔導クローンの一人だ。何ぶん仲間たちの話を聞かず、プライドも高くて一人で突っ走ってしまう傾向はあった。
 血劣化は血液を代償にする為、輸血などで対処ができる。劣化の中では取り扱いがよく、社会的にも広く受け入れられている。故に、前の雇い企業が倒産し田舎の何でも屋こちらが引き受ける事になったのは、納得がいってなかったのだろう。

 周りが協力して稲刈りをしている中、血劣化だけ姿が見えなかった。いつもの事とモニタリングをしていたのだが、地元の人間が叫びながら助けを求めに来た。

 血劣化は一人輪を離れて、別の所で作業をしていた。その際、水やりが面倒だからと”劣化“を使ってしまったのだ。
 普段ならそんな事は起こらなかっただろう。だが、今日は運がなかった。虚血により脳に血が行き渡らず倒れ、更に頭を打った。それが発見されたのは2時間後だったという。最終的にどれが死因になったかは専門家に任せるとしよう。


 仲間たちは沈黙し、黙々と作業を始めた。地元の人間が気にかけて今日はもういいと告げてくれたが、残念ながら最低限のノルマは果たさなければならない。
 命を失うのを目の前にしながら、収穫を続けるよう命令した。

 血劣化の遺体は、魔力石を取り扱う業者でしか引き受けてくれない。その手続きが出来るのは人間―― 自分だけだ。

 書類を打ち込みながら思う。血劣化は幸せだったのだろうか。周りに溶け込めず、一人で力を誇示し、呆気なく死んだ。
 もう少し上手く出来たのではないか。少なくとも、周りに引き込むくらいは自分にも――

 ……いや、出来なかったからこんな結果になっているのだ。
 ちゃんと言葉に出来なかったから、死体を一つ増やした。

 俺は――