RECORD

Eno.267 サントクツクリの記録

◆0日目 金がない

◆メモ書き

今期のシゴト
 『フラウィウス』の海産物調査と特産品調達
 クソ簡単
 観光して帰る


⇒⇒⇒⇒⇒緊急事態
 金がなくなった
 ???なぜ ← 珍しい文様の包丁 カトラリーセット 地酒 
 食材どうする

 どうする? 


◆独白
この世界の食材を社に持ち帰ること。
死と隣り合わせの巨獣討伐、面子を懸けた料理勝負、そのようなものと比べれば、
はっきりいって些末な、子供のおつかいのような、休暇を兼ねた、簡単なシゴトだった。

『海産物しかない』という社の情報は古く、誤っていた。
なんと金属加工技術の素晴らしきことか。
戦乱を終え、武器製造の業は美しく機能的な道具造りの巧技へと昇華され、
多くの刃物職人を生み出していたのだ。
そのひとつひとつの作品を審美することになんの問題があるだろうか?
そのすべてを私室へと持ち帰り寝所を供にしなければならないという
使命に燃えるのを誰が止められるだろうか?
刃物屋をハシゴすることはすべてに優先されるのだ。



――――金がなくなった。

率直にいう。非常にマズい。
ワタシの元々のシゴトはこの世界の食材を社に持ち帰ること。
食材を買うための予算が0日目で尽きた。
牛一頭、鮪一尾でも買っておけば解体ショーもできただろう。
そうでなくとも、何かしら食材を調達した後であれば、それを料理して売ればいくらか増やすこともできただろう。
完全に元手が尽きてしまえばそれも叶わない。
食材のない料理人など、ただ包丁を持った一般人だ。

とにかく、金を稼がなくてはならない。
しかし刃物を振るうことしか能の無い娘一人に何ができるというのか。
生憎なことにワタシは異邦人であり、働き口のツテなどひとつもない。
嗚呼、ただ刃物を振り回すだけで金が入ってくるような
美味い儲け話でも転がってこないだろうか――


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チラシが転がってきた。