RECORD

Eno.372 マカンフの記録

夏の記憶

「はっ、はっ…うぐっ……」


暗く足場の悪い山の中を歩いていた。虫の鳴き声が五月蝿い。
足は擦り傷だらけで背中には何か…誰かを抱えている。


「ふうっ、ふーっ…ぐすっ、ひぐ…」


視界がぼやけていてどこへ向かっているかわからない。
啜り泣く声が聞こえる。


「げほっ…はぁ…」


しばらくして、歩いたことのある気がする獣道を辿っているのだと気づいた。
この先にたしか開けていて、どこかの村を見下ろせるような場所が………




遠くからでもはっきりとわかる光を見つけた。背中の…小さい女の子をそっと置いてから目を擦る。

広く燃えていた。上がる煙と飛行機を照らしている。

ある一点を見始めてから、酷く胸が痛むような気分になった。
どうしようもなくて女の子いもうとを胸に抱き抱える。



遠くは酷く暖かいのに、いつまで経っても自分は冷たさばかりを感じていた。

誰かの足音が近づく。





「……」



酷い気分の目覚め。

少し考えてから、あの日掛けられたおまじないの効果を理解した。