RECORD

Eno.374 ぺルシルの記録

ひとり言

迷子の道案内の、お別れのあとの話。
寮を背に、遠くまで歩いてからのこと。
開けてしまった少しの間を思い出す。

「……あ"ァー……」


思わずこぼれてしまう溜息。
失言だった。迂闊に相手の過去に踏み込むな。
記憶を掘り起こす辛さを理解しているんじゃないのか。

「……」


無言で歩く男。
静寂が脳に思考を溢れさせ、押し潰される。

あの気にしていない風の声色は、どっち・・・だ。
どうしてそうなったのか。辛くはないのだろうか。
寂しさが心の底に積もっていないだろうか。
あの時間に何を思った?もしかして気を遣われていたか?
──じゃないか。────では、──────


「ストップ。時間切れだな」




思慮を巡らすのは10分まで。
それ以上は時間を無駄にする。
故にこれ以上、己と相手を重ねてはいけないのだ。



──何も考えるな。明日、笑うために。