RECORD

Eno.374 ぺルシルの記録

寝言 よん

 

昔々、闘技場で散っていった一人の闘技者グラディエーターが言っていた。

 よく笑え

 礼は尽くせ、ありがとうをたくさん言え


いつか自分の命が終わるその時に、
胸を張って逝けるように。












刻碑暦978年 死の淵に、黄金の扉異世界へ招かれた私は
奇跡の力を持つ男に助けられた。

そこは5つの国が戦火を広げる呪われた世界。
終戦を迎えては、時を戻され再び戦場に放り込まれる
戦いの鳥かごだった。
あるいはここがあの世だったのかもしれない。



どうだってよかった。


命を繋ぎ留められて、 青空を目にして
私は笑う事を忘れた。

奪い奪われって世の常だ。
だからいつその時が来たって、笑えるつもりだったのにな
意外と、胸を張って死ぬことは出来なかったよ。



生まれた故郷から売られ、
やっと馴染んだ闘技場ももうここにはない。

でもどこいっても空の色は変わらないみたい。
もう一度生きていくことにするよ。



―――彼に恋をしてみよう