RECORD

Eno.23 火焔放射姫の記録

『炎の中で』



自分が炎の中に何を見ているのか、と訊かれることがある。


アタシは炎の中に、『美』を見出している。全てを焼き尽くし、枯らすエネルギー。
いや、エネルギーそのものが具現化したモノ、それが『炎』や『火』であり、
そしてそれが自分の手で起こせるというコトに快感を得ているのかもしれない。





『学園都市』でアタシが『火焔放射姫』として生まれ変わった時、
アタシはその欲求がより強く激しく燃え盛るのを感じた。

燃やせ、燃やせ、燃やせ、燃やせ……、全部、全部、全部。
美しい炎の中に包み込んで、燃やし尽くしてしまえ。

アタシの欲求を満たすには、とにかく放火するしかなかった。
『学生運動』による『学園都市』の各種機能の機能不全を皮切りに
起こり始めた内乱を利用して、アタシは様々な建物に放火した。
ピンク色の特注された火焔放射器を担いで、一軒一軒丁寧に火を点けて
綺麗な綺麗な色とりどりの炎に包まれる建物を眺めていた。

ついてきてくれた「ないと」達もその炎を眺めていて、終始無言だった。
綺麗だったんだと思う。或いは、放心していたのかもね?
そんな、一番最初期についてきてくれて「ないと」になってくれた人達は
今じゃアタシの補佐としてどんなワガママも忠実に遂行してくれるようになった。







アタシは炎に恋しているのだろうか?いや違う。魅せられているんだ。
だから、ヒトに恋をすれば火を点けて昇華する様を眺めては、うっとりする。




……フェストリアで何人に放火しただろうか?
数人規模で放火はしたが、多種多様な反応だった。

火を点けられれば苦痛を感じて喜ぶ……コガラシ。
火葬したらそれはそれでいい経験だという……異常性癖トンカチ女。
凍ったまま溶かされるのは新鮮だったという……メイド女。
燃やし尽くせば、負けた事の方が悔しかったように見える……レンゲ。
炎に巻いても、次は負けないと戦いたがる変人……セーラー服男。
燃やすと何でだよってキレ散らかす配信者……吸血鬼(後天性)。
遊ぼうと言ってアタシとやりあった……チトセ。

まあ他にも沢山居たような気がしたけど、アタシの目に映って
印象に残ってるのはこれだけ。
それでいてなお、アタシに挑もうとするのだから――――……。











『火焔放射姫』に休みなんてないんだろうな。