RECORD

Eno.7 柘榴色の記録

発進! 柘榴色

「お祭り、だぁ?」


総合案内人の少女に連れられ、赤い青年は歩きはしり出す。
不慣れな、脚を持ち上げる動作とともに、かすれた記憶が視界を包む。

「……懐かしいな」


確か、それは駅街のひとつ。新たに浮上したそれを、ぼくたちは歓迎した。

始まった、オープニングセレモニー。
彼の仕事は、ウワサを聞きつけ訪れる、多くのヒトビトを護ること。
駅街に降り立つヒトビトを、彼は見下ろし、見守っていた。

短くても、共に旅したヒトの中には、律義にお礼を言うヒトまでいた。
そんなヒトビトを、彼は行ってらっしゃいと見送るんだ。

「お祭り、楽しんで!」


彼自身は、お祭りって何なのか、よく知らないままに。

真面目な彼は、相も変わらず街の外。
ヒトビトの素敵な時間を護るため、ぐるり、終わらぬお仕事ばかり。

その時は、一度も火を噴かなかった砲身を抱えて、

「これが、一番だろ?」


なんて言うけれど。

笑顔を好む彼自身は、それを間近で見ることはなかったんだ。

……
もう、いいんじゃない?

「……」


もうずっと、彼に与えられる任務はない。
ヒトビトにとって、彼はもう、終わったモノだから。

歯車仕掛の夢の国、そのすべてが終わった日。
護るためにあった、彼もまた終わったんだ。

……
かっこよかったよ。

自分を忘れる誰かの為に、そのすべてを使い果たしたきみ。
誇りだったお仕事も、護るための力だって、もうないけれど。
それは今きみが、誰よりも利己的であって良いってことなんだ。

「……」


さあ、きみのレールはきみが敷いて。

「信号確認」


前方に障害など見当たらず。

「戸締確認」


砕け散ったブレーキは、もはや意味をなすことなく。

「いざ、祭の会場まで」




「出発……進行!」


ただのひとり、柘榴色が走り出す。



案内役の少女すら、いっそ引っ張る勢いで。

「ゥ俺が一番乗りだァ~!!!!!」


……ちょっと、想像以上になっちゃったかも……?
あと7番目だよ。