RECORD
Eno.23 火焔放射姫の記録
『炎』
最初に出会ったのは、学生時代の理科の授業中の時だった。
アタシのいるクラスは理科の実験で、化学薬品の反応を見ていて……
ある時、同じ班の男の子が試験管に入れた薬品の突沸を浴びちゃったんだ。
慌てて水で洗い流そうとしたとき、アルコールランプを思いっきり手で跳ね除けてしまって
床に落ちてしまったんだよね。
男の子の足元に落ちたランプは割れて、一気に燃え広がった。
男の子の両足から火が回って燃え始めて、悲鳴を上げていた気がする。
アタシは実験用の机の向こうで燃える彼を、ただ茫然と見つめてた。
隣の子がパニックになって慌てて水を用意したりしてたかも。
すぐに火は消し止められたけれど、その火はまるで―――――――
それから、アタシは家に帰ってから親のライターを1本盗んでは、
夜な夜なこっそり家を抜け出して空き地に色んな物を持ち込んで火を点けた。
どんなものでも、燃えるものなら少しずつ少しずつ、火は全て吞み込んでいった。
その様が美しくて、暖かくて、魅入られちゃったんだ。
アタシはそれから、地元では少しばかり有名になってしまった。
夜な夜な空き地でボヤ騒ぎを起こす非行少女だと言われるようになった。
多分、誰かがアタシが火を眺めているのを見たんだと思う。
ある日、警察の人が来てアタシを補導した。
それから次の日には既に学校中で非行少女だと噂された。
皆、火の見出すあの感覚がどんなものか分かってないんだ、って思った。
それから月日が流れて明くる日、冬の寒い日。
アタシの事が好きだ、って告白してくる男の子がいた。
その子はアタシが非行少女だと知っていてなお、付き合いたいと言った。
その日、彼は日直で灯油を教室のストーブに入れながら、アタシの事を
褒めるような言葉を言っていたと思う。それをアタシが偶然早く教室に来て
聞いたがために、そのまま告白してきたのだった。
アタシの答えは、火を見るよりも明らかだった。
ほどなくして、アタシは燃え盛る学校を校庭で一人眺めていた。
遠くから警察車両と消防車両、救急車両のサイレンが入り混じって聞こえてきて
近付いてきているのが分かる。
きっと誰かが通報したんだろうなあ。そんな事もお構いなしにアタシは、
色んな物が火に呑まれていく様を見ては、うっとりしていた。
彼の告白は、文字通りアタシに『火を点け』た。
次の瞬間には、灯油の入ったポリタンクに手をかけて彼に灯油を浴びせて
隠し持ってたライターで火を点けたんだ。
火が点いた彼は綺麗だった。素敵だった。
次に悲鳴を聞いてかけつけた隣のクラスの女友達がやってきて、
アタシは問答無用で灯油を浴びせて火を放った。
火が点いた彼女は綺麗だった。素敵だった。
そこからもう止まらなかった。
教室中に火を点けて回って、校庭に出た。
警察が来て、消防車が停まって、救急車が来て、
アタシは
気付いたら留置場に居て、警察に連れていかれていたのを思い出した。
その後、刑事がやってきてアタシの取り調べを行ったけれど――――
アタシはその刑事にある提案をされた。
「お前みたいな奴ばかりが居る学生達の街がある。
表社会で過ごせない、裏社会に生きるしかない者達の街が」
「お前みたいな奴をそこに送り込むのが、俺の仕事だ。
そこに行くなら、お前のやった事はなかったことになる」
当時のアタシは二つ返事で頷いて、
次の日には見ず知らずの街に護送車で送り届けられたんだ。
アタシのいるクラスは理科の実験で、化学薬品の反応を見ていて……
ある時、同じ班の男の子が試験管に入れた薬品の突沸を浴びちゃったんだ。
慌てて水で洗い流そうとしたとき、アルコールランプを思いっきり手で跳ね除けてしまって
床に落ちてしまったんだよね。
男の子の足元に落ちたランプは割れて、一気に燃え広がった。
男の子の両足から火が回って燃え始めて、悲鳴を上げていた気がする。
アタシは実験用の机の向こうで燃える彼を、ただ茫然と見つめてた。
隣の子がパニックになって慌てて水を用意したりしてたかも。
すぐに火は消し止められたけれど、その火はまるで―――――――
それから、アタシは家に帰ってから親のライターを1本盗んでは、
夜な夜なこっそり家を抜け出して空き地に色んな物を持ち込んで火を点けた。
どんなものでも、燃えるものなら少しずつ少しずつ、火は全て吞み込んでいった。
その様が美しくて、暖かくて、魅入られちゃったんだ。
アタシはそれから、地元では少しばかり有名になってしまった。
夜な夜な空き地でボヤ騒ぎを起こす非行少女だと言われるようになった。
多分、誰かがアタシが火を眺めているのを見たんだと思う。
ある日、警察の人が来てアタシを補導した。
それから次の日には既に学校中で非行少女だと噂された。
皆、火の見出すあの感覚がどんなものか分かってないんだ、って思った。
それから月日が流れて明くる日、冬の寒い日。
アタシの事が好きだ、って告白してくる男の子がいた。
その子はアタシが非行少女だと知っていてなお、付き合いたいと言った。
その日、彼は日直で灯油を教室のストーブに入れながら、アタシの事を
褒めるような言葉を言っていたと思う。それをアタシが偶然早く教室に来て
聞いたがために、そのまま告白してきたのだった。
アタシの答えは、火を見るよりも明らかだった。
ほどなくして、アタシは燃え盛る学校を校庭で一人眺めていた。
遠くから警察車両と消防車両、救急車両のサイレンが入り混じって聞こえてきて
近付いてきているのが分かる。
きっと誰かが通報したんだろうなあ。そんな事もお構いなしにアタシは、
色んな物が火に呑まれていく様を見ては、うっとりしていた。
彼の告白は、文字通りアタシに『火を点け』た。
次の瞬間には、灯油の入ったポリタンクに手をかけて彼に灯油を浴びせて
隠し持ってたライターで火を点けたんだ。
火が点いた彼は綺麗だった。素敵だった。
次に悲鳴を聞いてかけつけた隣のクラスの女友達がやってきて、
アタシは問答無用で灯油を浴びせて火を放った。
火が点いた彼女は綺麗だった。素敵だった。
そこからもう止まらなかった。
教室中に火を点けて回って、校庭に出た。
警察が来て、消防車が停まって、救急車が来て、
アタシは
気付いたら留置場に居て、警察に連れていかれていたのを思い出した。
その後、刑事がやってきてアタシの取り調べを行ったけれど――――
アタシはその刑事にある提案をされた。
「お前みたいな奴ばかりが居る学生達の街がある。
表社会で過ごせない、裏社会に生きるしかない者達の街が」
「お前みたいな奴をそこに送り込むのが、俺の仕事だ。
そこに行くなら、お前のやった事はなかったことになる」
当時のアタシは二つ返事で頷いて、
次の日には見ず知らずの街に護送車で送り届けられたんだ。