■ きろく ぜろ
―― ふらり、ふらりと、歩いて居れば。
気付けば其処は、何処かの孤島。
辺りを見ても、海か空。
まぁ、そんな事も在るかと、目を閉じる。 ――
―― 海風は、その軽い髪を流し、
その薄い身体を撫でる。
何処に居ても。
見習い悪魔にとっては同じ事。 ――
「それでは、散歩の続きを致しましょうかー。」
―― ふらり、ふらりと、歩き出す。
何処に居たって。
見習い悪魔は、今日も独りで歩いて行く。 ――
―― その島に、己の他に"誰か"が居る事を、
見習い悪魔は、未だ知らない。 ――