Eno.20 えくね

■ きろく ぜろ

―― ふらり、ふらりと、歩いて居れば。
   気付けば其処は、何処かの孤島。
   辺りを見ても、海か空。
   まぁ、そんな事も在るかと、目を閉じる。 ――



―― 海風は、その軽い髪を流し、
   その薄い身体を撫でる。
   何処に居ても。
   見習い悪魔にとっては同じ事。      ――

「それでは、散歩の続きを致しましょうかー。」



―― ふらり、ふらりと、歩き出す。
   何処に居たって。
   見習い悪魔は、今日も独りで歩いて行く。 ――

―― その島に、己の他に"誰か"が居る事を、
   見習い悪魔は、未だ知らない。      ――