■ 三日目:賑やかな共同生活
無人島に漂着して三日目。
念願の浄水器を何とか作ることができて、リーフェはようやくそこそこ安定した生活を手にいれた。
リーフェ一人では到底太刀打ちできなかったであろう自然を相手取ることができたのは、同じ島に流れ着いた仲間たちのおかげだ。
島のあちこちに作られた施設や狩猟の罠。資源を譲り合い、助け合いながらなんとか生き延びている人たち。
そんな交流を目にして、リーフェはこの日々を愛しく感じるようになっていた。
「なんだか無人島なのに、楽園みたい」
リーフェのいた国では、獣人と人は敵対していた。
獣人は人から獣の特徴を隠すための服を着なければならなかった。
だからリーフェは、あらゆる種族に合わせた服を作るために旅をしていた。
……でもきっと、本当は、服はそんなことのためにあるものじゃないはずだ。
「忘れないようにしよう。こんな風に、皆で協力して生きられること」
この確かな日々を忘れないために。リーフェはある決意をした。
「ここの皆に、できるだけたくさん服を作りたい。思い出に残るような服を!」
ここでしか作れない服があるはずだ。素材ではなく、思いを込めた服。
「思いを込めた服だから……メモリー……で、サバイバルだから……モード・メメント・メモリーとかかな!」
……ネーミングセンスはデザインセンスとは全くの別物である。