Eno.249 今田

■ 4



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貧弱な女子高生が俺のハンモックに寝ていた。あまりにも無防備なので、仲間がいるのではないかと警戒してあたりを見回した。
誰もいない。あの虹ゲロ男と一緒じゃなかったらしい。


仕方ない。こいつ去ったらハンモックを移そう。最悪このハンモックを捨ててもいい。

俺は歩きながらこの島の「猫」をどうやって防ごうかと考え始めた。
次は離れる前にハンモックやハンモックの周りに割った石やガラスを撒いておこう。
こういう物なら山ほど持ってる。





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……

暇つぶしの薪割り終えて帰ってきたら、ハンモックにお弁当が置いてあった。
お弁当に可愛らしいシールが貼られている。落書きもある。呆れた。

毒が入ってるかもしれないのでまず犬に試してみよう。
いつもの場所で時間を潰してたら、思った通りに犬がやってきた。弁当を少し犬に投げてみた。嬉しそうに食べていて、しばらく観察してみても変わった様子はない。
食糧を節約できるし、食べようか。

味はそこそこ。冷えたせいかもしれない。
そういえば、昔も妹が弁当とかを作ってくれてた。俺は一度も評価したことなかったが、ある日彼女がおずおずと「味は、どうですか…?」と聞かれ、俺は何も考えず正直に「悪くない」と答えた。
すると彼女は珍しく、嬉しそうに、恥ずかしそうに、うつむいて微笑んだ。それから……

犬はまだ弁当を食べたがっている。あげない。
このハンモックは食べ物と交換できるのなら時々貸し出しても悪くないだろう。

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丁度この前に犬からヒトデを貰った。俺は暇つぶしに作ったネックレスをちょっと加工して、犬のバッグに入れた。この賢い犬なら俺が何をさせたいのかわかるだろう。