Eno.322 影妖精ファレノ

■ 遭難3日目

拝啓、主様へ。

これまで初日より居を共にした方々と過ごしておりましたが、
今日は初めて拠点を別に持つ方に出会いました。

先住民の可能性も考えましたが、ここでは一人らしく……
恐らく、わたし達と同じく何らかの形で流れ着いた方なのでしょう。
見た感じ幼い様子でしたが、住処の隠し方といい、今日まで一人生き延びたことといい、
かなりサバイバル慣れしているようです。

自然の中で一人でと聞くと、人間様に捕えられるよりも以前の事を思い出しました。
わたしも人間様の文明にすっかり慣れてしまったといいますか……
いえ、もちろん良いことも多いのですけれども。
なんかしみじみと感じてしまいました。

自分たちの活動といえば、いかだの話が少し聞こえました。
いつかとは思っていましたが、海へ踏み出す時も近づいてきているのかも。
……ここから戻るまで、どれくらいの距離があるんでしょうね?