Eno.346 佐場野ミソニ

■ おもいでよっつ

▼頭の中で、思っている。

「ちっちゃい貝いっぱいやいた。
 海にもぐって、いっぱい取ったの」


「……羽、じゃまだなって思う」


「うごくけど“とべない”し、広げすぎたら服がめくれる……」


「いつか、とべたりするのかな」


「………………だめ」


「“とぶのは、こわい”?何でかな、そう思う」


「でも、“そらをじゆうにとべるなら”……どこにでもいけるのかな」




「私のはなしを、みんなにした」


「覚えてないから、たくさんはしてないけど……」


「自分のことをはなすって、何だか……
 こわいけど、ちょっとかるく?なった。へんなの」


「みんなと、はなせて、うれしかったな……」


「みんなちゃんと、かえれるといいな。
 ……私も、どこかに。いけるといいな」



▼【言葉を発する勇気】を少し取り戻した。
▼【ちいさな希望】を胸に抱いた。



「今日はアヒルさん拾えなかった。ざんねん」