Eno.437 水鳥川 紅信

■ 慣れ

……慣れとは恐ろしいものだ、と思う。

端から憔悴しきっていた為、元々危機感は余り感じられなかったのだが。
今では何も言われなくても水を採り、飲み水へと生成して2本ずつ配る……というのがルーティーンと化している。

……帰る気は、ある。
無くは、無い。……あの子の元へ帰らねば。
どれだけ、苦しかろうと、辛かろうと。

もし、その『大事な彼』とやらに手酷くされた時……一体誰があの子を慰めてあげるんだ?
アイツは……京介は駄目だ、絶対に揶揄う。


……しかし、帰ったところで……此処の面子とはまた会えるのだろうか?

なんとなく、本当に僅かだが────何かズレている、ような。
……いや。そんな事があるのだろうか。
しかし、あの子は夢で不可思議な事が起こっていた訳で……。

あったとして……俺がどうにか出来る話では、ないのかもな。


明日こそは、リーさんの言う様に自分が来た所の話が出来れば……良いな。