■ TG-13 5日目早朝
眠れない。
罠の確認と、夜に回収した分も合わせた動物の処理をした。
結構な量がとれたので、大量の水のストックからも配分して、2人分置いておいた。
……どうにも落ち着かない。
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迫害対象のダークエルフが騎士になっても、誰も見向きしてくれなかった。
俗に言う陽キャの皮を被って自分から接触しに行ったが、火力のないデバッファーの受け口もなかった。
ひとりじゃ仕事にならない俺を、友人の鬼が、人間の奴と引き合わせてくれた。
俺はお前に光を見せられたんだ、麻糸。
俺はお前に救われたんだ、アスター。
最初は名家の落伍者を訳もなく恐れていたが、すぐそれは間違いだとわかった。アスターを相棒にしてから、互いにメリットばかりだった。
話してみれば生真面目なだけの良い奴だったし、奴の力の戦闘中に制御の効かない分は俺がカバーできた。
目立った分、邪魔も多かったけれど、それでも俺らは──英雄に近づけたんだ。
世界を揺るがすような大舞台の立役者になったんだ。
誰かの力になれることがこんなに幸福だとは。